【重心を考える①】重心点はダイヤモンド?

PHYSIOMED代表の田中紀行です。
本日は、重心位置について考えます。
とても重要でありますし、コンディショニングやトレーニングを考える上で基本になります。

今回はフィギュアスケートを例にとってお話ししたいと思います。

フィギュアスケートは、氷上でのスポーツであるので、スケート靴を履き、エッジと言われる靴の下の刃をコントロールして演技をします。

華やかなジャンプやスピンはフィギュアの醍醐味でありますが、その土台となるものは…

そうです!

『スケーティング』です!

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スケーティング技術が高いことにより、スピードに乗ってリンク内を自由に演技することができますし、コントロールが高い程、ジャンプやスピンの完成度が高くなると言っても過言ではありません。フィギュアにとっては、スケーティングは基礎トレーニングとして行われるものであり、決して疎かにしてはいけません。

ではここで考えるべきことですが…

スケート靴を履いた状態での重心の位置はどこが正しいのでしょうか?

ある、本を読んだところ

「スケーティングは選手にとって最も重要でかつ時間をさいてトレーニングしないといけない技術である。最もスケーティングが滑る1点(ダイヤモンド)の感覚をつかむことにより、力の要らないスケーティングが出来ている」

この中で、ポイントとなってくるところは以下の二つになります。

◇最もスケーティングが滑る1点 = ダイヤモンド

◇力の要らないスケーティング

【最もスケーティングが滑る1点:ダイヤモンド】

2012年の高橋大輔選手の記事でダイヤモンドが触れられていたので紹介したい。
以下、その記事を抜粋したものである。

08年の前十時靭帯(じんたい)の手術後、右膝に入ったままだったボルトの除去手術を、シーズンオフの5月に受けた。リハビリを含め2カ月間は氷に乗ることができず、7月に氷上練習を再開。「すぐにジャンプの練習はできないので、スケーティングを見直そう」と考え、アイスダンスのコーチから基礎を習おうとフランス・リヨンに飛んだ。そこで、ジャンプ優先のシングル競技ではおろそかになっていた、スケートの基礎理論と出会った。

最も技術的に変わったのは、重心の位置だった。足のつま先からかかとまで全長25センチメートル前後あるエッジのうち、最もスケーティングが滑る1点をダイヤモンドと呼ぶ。アイスダンスではこのダイヤモンドの感覚をいかにつかむかが勝敗を分けるが、シングル選手が乗っている拇指球(ぼしきゅう)のあたりよりも、やや後ろと言われている。シングルの選手はジャンプを跳ぶため上半身はやや前傾になる傾向があるが、アイスダンス選手は上半身を起こし、転ばないギリギリの後方に重心を置く。このギリギリの部分に、ダイヤモンドがあるのだ。高橋は、このダイヤモンドに重心を近づけたことで、力の要らないスケーティングを身につけた。

「押して滑るのではなく、ちゃんとエッジに体重を乗せると自然に進む。力を使わないでスケーティングできるようになったことで、ジャンプに集中できるようになったし、ジャンプに体力が使えるようになりました」と変化を実感する。(Sportsnavi:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1112/columndtl/201204030003-spnavi?page=2)

この記事の中には、ダイヤモンドの位置を拇指球(ぼしきゅう)のあたりよりも、やや後ろと定義している。
体軸理論において重心位置は、内くるぶしの下と言われています。

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記事の中では、内くるぶしの下とまでは言っていないものの、拇指球よりやや後方といっています。
いくつかのスポーツ選手に話を聞くと、競技で体重をかけるポイントは拇趾球と答える方も多くいます。

ここで生まれる疑問は、スポーツによってパフォーマンスを発揮する重心位置は違うのでしょうか?

その答えのヒントは、力の要らないスケーティングにあると思います。

【力の要らないスケーティング】

先ほど上げた体軸理論の重心位置を再度見てみましょう。

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体軸理論において、重心位置を内くるぶしのした(ウナ)に持っていくことは、感覚としては『骨に立つ』という状態になり、アウターマッスルの緊張をを最小限にし、インナーマッスルが活動しやすい状態となっています。図中の横隔膜、腸腰筋、ハムストリングスは代表的なインナーマッスルとなります。

骨に立つといった状態では、アウターマッスルの緊張が最小限であるため、余分な力を使うことなく立つことができます。

先ほどの記事で、高橋選手がはなしていた力の要らないスケーティングはまさにこの骨に立つ状態であるのでしょう。
スケートは表現力も重視されるスポーツであるため、無駄な力が抜けている状態であることにより、ジャンプやスピンのハイパフォーマンスに影響するだけでなく、柔らかい伸びのある演技を可能とし、表現力も評価されやすくなります。優れた選手は、舞台上やコートにいるだけで存在感があるのは、無駄な力が抜けて美しい立ち方をしているからかもしれませんね。

長文になってきたので、今回はここまでにしたいと思います。
次回の重心を考える②では、先日、コンディショニングにてフィギュアスケートの選手とお話しした時を例にとって解説したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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