~バレエ・フィギュアを始めとした芸術や身体を追求する方々への想いです~

【1999年の出会い】

初めて私がお会いしたのは、ひとりのバレエダンサーでした。見た感じは、スラッとした姿勢で身体の柔軟性も高く、どこも問題がないように見えました。

お話を伺うと、その方は膝を痛めておられて、痛みに苦しみながらの必死のリハビリ中でした。お会いした当初の私は、その方の見た目で多くの事を判断してしまっていました。

その当時を振り返るといまでも自分の不甲斐なさをただただ痛感いたします。

【わかってもらえない?】

ダンサーは、痛みや障害を抱えながらも自らの身体をトレーニングし続けなくてはなりません。

しかし多くの場合、痛みや障害は、見た目の姿勢、柔軟な筋肉や可動域の大きさなどで正確に判断されることなく、表面上のマッサージ、電気療法、安静、お薬などで済まされてしまうことが多いのが現状です。

その結果、根本的な解決はなされないままに痛みは大きくなり、股関節や腰部には大きな負担がかかり、そして膝、足首、頸部、肩などにも間接的に影響し、種々の障害を引き起こしてしまいます。

【どうすればいいのか?】

ダンサーの動きは、決して特殊な動きではなく、身体を徹底してトレーニングした結果であり、注意深く観察することで、その痛みや障害を解決することができます。一般的に立ち姿勢や基本的な動作をしっかりと確認することなく、その痛みの部位のみで判断することが多いため、問題に対する理解が不十分な事が多いのです。

立ち姿勢や歩き方は、骨格の変化や生活の癖などにより必ずしも正しい状態になっていないことが多いのです。その状態で、徹底してトレーニングをすれば、身体の各部に様々な負担が強いられるのは言うまでもありませんが、多くの人がジャンプやターンなどの動きに特化したトレーニング(メイントレーニング)を行っています。

特化したパフォーマンスをアップするには、痛みのコンディショニングをし、その動きばかりをトレーニングするのではなく、よりパフォーマンスを高めるための構造や身体意識を理解し、その部分をトレーニング(アシストトレーニング)をする必要があります。

【シンプルに感じる芸術】

素晴らしいパフォーマーが舞台に登場すると、ただ歩くだけでも、その空間に魅了されて何とも表現できない感覚になることがあります。それは、時に難しいジャンプやテクニックよりも人々の心により感動を与えることがあります。

一例をあげてみたいと思います。下の図は、左:高画質 右:低画質のものを並べてあります。同じ場面の画像であっても感じ方は異なると思います。

高画質  低画質

シンプルな動の中の細やかな動き(高質)は、単調なラフな動き(低質)と比較して、構造や身体意識を細分化することで生まれる産物であり、そのトレーニングは極めて重要な要素を占めると考えられます。

細やかな動きになればなるほど一点にかかる負荷も少なくなり、多点支持構造からの連続した動きが、人の目に想像を超えた感動を与えると同時に怪我や障害のリスクも分散してくれることになります。

これからのケアは、コンディショニングのみならず身体をコーディネートする時代になります。そのためには個々のニーズとそれに合った方法が重要であり、身体へのより細やかなケアとトレーニングが必要不可欠となります。

この考え方は、年齢に関わらずにトライすることができます。自らの身体の可能性をもう一つ伸ばす身体ケア・コントロールを手に入れてください。

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