バレエの先生方に知っておいてほしい脊柱側弯症(update)

PHYSIOMED代表の田中紀行です。
バレエダンサーはとても姿勢が良いイメージがありますが、レッスンの際に背骨の異常に気づき、背骨の歪みを相談されることがしばしばあります。
一般的に脊柱の側弯症と言われます。

そのなかでも、特発性脊柱側弯症が最も多いと言われています。

特発性側弯症の特徴は、原因不明であり、小学生ぐらいで発症し、身体の成長に伴って脊柱、肋骨などが変形します。ある程度成長期を終えることで変形の進行していくのも止まります。男性の発症と比較すると女性の方が多いのも特徴のひとつです。紹介されてくるケースをみてもほぼ女性ダンサーです。

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では、どのような症状が見られるのでしょう?

歪みの程度が少ない場合は、ほぼ無症状な事が多く、少し進行しても痛みはない場合が多いです。そのため、異常に気づくのは肩の左右の高さが違う、腰骨の高さが違う等の鏡を見た時の違いで気付く事が多いです。そのためレオタード姿の生徒の側弯に気づくのは、バレエの先生が圧倒的に多いです。

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早期発見には以下のことを気を付けてください(早期発見チェックポイント)。

◇視診で両肩の高さ

◇骨盤傾斜

◇ウエストラインの非対称性

◇前屈位での片方の肩甲骨や肋骨の隆起

◇腰椎隆起のチェック

◇尻の突出

◇乳房の非対称性

本人が自覚して気づくことが少ないため、周りの先生や家族が早期発見することが重要です。悪い姿勢は癖であると決めつけず、違和感があれば一度しっかり観察をしてあげてください。

それでは、具体的な改善方法は何があるのでしょう?
一般的にはコルセットによる装具療法、ギブス療法、手術療法が選択されます。整形外科では、Cobb法で40度(腰椎)から45度(胸椎)以上は手術を選択されるケースが多いです。

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左:Cobb法で40度(腰椎)から45度(胸椎)以上の側弯

右:手術治療により矯正された脊柱

特発性側弯症は原因不明と言われていますが、早期に発見し、早期に改善にむけて行動を開始する事により、変形の進行を食い止めることができる可能性が高いです。

【突発性側弯症の整形外科での治療update】

軽度(側弯症角度25度未満):一般的には経過観察とされており、定期的な整形外科での診察が必要です。

中等度(側弯症角度20度~45度程度):進行防止の為に装具療法を行うことが一般的です。装具療法は装着時間が長い方が良いと言われています。脊柱の成長に伴い、側弯症の進行がなくなれば装具装着時間を減らします。装具着用時間は整形外科医師が行います。

重度(側弯症角度45度以上):側弯症の進行予防として唯一選択されるのが手術療法です。

上記治療法が一般的に整形外科で行われる治療法です。

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ここからは、私見になりますが、整形外科の治療法と同時にコンディショニング、トレーニングや生活習慣の改善なども一定の予防効果があると思われます。

特にクラシックバレエの基礎となるバーレッスンは、正しい動きを繰り返すことで、身体の深部のインナーマッスル(腸腰筋やインナーユニット)を賦活させて脊柱を矯正する効果が考えられます。

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腸腰筋の付着部は胸椎12番から腰椎1-5番になり背骨の安定化に寄与する

ここで重要なのは、『正しい動き=正しい指導』です。

ただ単純に背骨を伸ばしなさいと言っても簡単に変わるものではありません。これは、脊柱側弯症を持つダンサーを観察した印象ですが、背骨に歪みのない正常な方と比べると明らかに身体の感覚が鈍いようです。長期間の歪みが、身体のセンサー(筋肉内にある筋紡錘)を狂わせている可能性があります。

そのため、自分では歪みや動きを修正しているつもりでも、バレエの先生が口頭で行う指導では簡単に修正できない状態であると言えます。

脊柱側弯症を持つダンサーには、正しい運動を繰り返して行うことで姿勢を学習し、姿勢を正しく保つ筋肉を賦活させる必要があります。そうすることで側弯症角度を改善するきっかけになることもあります。

私の経験上でも52度の側弯症が半年ほどで42度まで改善したケースもあります。手術という選択肢以外にもバレエを正しくバレエを続けることで改善方向に進めるならば本人やご家族にとっても喜ばしいことになると思います。

最後に、私が考える脊柱を正すための運動要素を挙げます。

①土踏まず(ショパール・リスフラン関節)の可動性とコントロール

②内転筋の強さと連動性

③骨盤のニュートラルポジション

④股関節の内外旋の可動性とコントロール

⑤脊柱の意識化

⑥胸骨の柔軟性

⑦上半身の正しい位置関係

まだ考えられるものはありますが、これらはバレエの基礎レッスンの中に多く含まれるものです。整形外科治療と共に、少しでも側弯を改善するレッスン、トレーニング、生活習慣の改善を心掛けてください。

もし、疑問等があれば下記からご相談ください。ケースに合わせてお答えさせていただきます。

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