膝前十字靭帯断裂で考える事②

PHYSIOMEDの田中紀行です。前回の東京でのコンディショニングでのお話しである前十字靭帯断裂の続編です。

前回の記事も合わせてお読みください。

前十字靭帯断裂で考えること①

前回も少し書きましたがまず復習です。解剖の図と合わせてごらんください。

kaibou

前十字靭帯の役割は、膝関節のほぼ中央にあって、膝関節が外れないように支えている靭帯です。具体的には、すねの骨(脛骨)が太ももの骨(大腿骨)に対して前方にずれたり、捻じれたりするのを防ぐ役割をしています。そのため、それが効かない状態でのステップやジャンプはとても難しいです。

ダンサーだけでなく、コンタクトスポーツであるサッカーやバスケット等でも非常に多いですね。

soccer

basket

ストップ、ターン、ジャンプ、ステップ動作などにおいてバランスを崩したり、転倒したりして発生する非接触型と相手と接触することにより受傷する接触型の2パターンに分かれます。

今回のバレエダンサーのケースでは、舞台上で他のダンサーと接触することもありますが、圧倒的にジャンプやターン等の際に発生する非接触タイプが多いと言えます。

非接触タイプにおいて受傷する起点はいくつかありますが、やはり重要なポイントは身体の使い方です。

『なぜ身体の使い方?』と思われる方もお見えでしょう。
『膝が悪いのであれば、膝の筋力をつけなくてはいけないんじゃないの?』とも思われるのが自然でしょうか。

確かに一つの要素として膝の状態に焦点を当てることに意味があることもありますが、パフォーマンスや動作と言う点においては、一つの要素を考えすぎることによってかえってバランスを崩すことがあります。

簡単にいいますと、

【重要】身体は一か所のみ考えることで改善できるほど単純ではありません。

【重要】単一的な筋力強化のみでは安定性の獲得や再発予防には不十分です。

では?身体をどのように考えれば良いのか?

この考え方を 関係主義 といいます。

少し難しくなってきたので、例を挙げて説明します。下の図を参考にしてみてください。

ACL

前十字靭帯(ACL)は、図のように大腿四頭筋が収縮することにより脛骨が前方に引っ張られることを防ぎます。

今回のダンサーのように、前十字靭帯再建の手術がすぐにできず、なるべく前十字靭帯に負担をかけないようにするには、大腿四頭筋を無駄に使わない身体の使い方が求められます。

その一つの方法として高岡英夫氏が提唱する身体軸があります。

taijiku重心線上に自らのセンターを意識できるようコンディショニングやトレーニングすることにより、横隔膜筋、腸腰筋、ハムストリングス上部等のインナーユニットが働き、大腿四頭筋の働きを最小限にすることができます。

どのような動きをするにしても、このような大腿四頭筋等のアウターマッスルの姿勢維持における活動を最小限にすることが基本と言えます。

まとめますと、ケガや痛みは単一的な要素に目を向けるだけでは良くならず、身体全体の関係性を重視することが改善には重要であると言えます。

根本的な痛みの改善や予防について、今一度考えて見ましょう。きっと改善の糸口は見つけ出せます。

膝のみでなく、慢性的な腰痛や肩関節痛でお悩みの方は、ご相談くださいね。

少し長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!

Follow me!

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です